bookmark_border[17] リグとアンテナの設置

FT-450DMとHFV5を設置しました。

リグはいい感じで机上のラックに収まりました。表面のシボが堅牢なリグの雰囲気を醸し出しています。ツマミのシルバーリングとゴールドの印字がアクセントになっていて、横長のディスプレイや筐体の縦横サイズのバランスとともに一時代前の安定感のある通信機といった感じです。八重洲無線はこの機種の生産中止を発表しており、今後は新品を手に入れるのが難しくなるかも知れません。入手できて良かったです。

FT-450DM

アンテナは上階のベランダ底面につっかえそうですが、集合住宅のため外方向に張り出して設置するのは気が引けこの様なポジションにしました。これでSWRが落ちるのか、電波は遠くまで飛んでいくのか心配ではありますが、この大きさで40m、20m、15m、10m、6mの各バンドにQRVできるのは有難いことですし、調整も手元で楽にできるのであまりストレスを感じなくて済みそうです。当面はFT8の周波数を中心に調整することになると思います。

HFV5

コモンモードノイズ対策のためのフェライトコアもいくつか用意しました。同軸ケーブルやデータケーブルに被せるクランプフィルタです。昔は電波によるTVへの影響(TVI)をいかに回避するかがハムにとって重要な課題でしたが、今はデジタル放送で影響を受けにくくなった反面、PCやゲーム機などの電子機器の動作に悪影響を与えるコモンモードノイズの低減が重要であることをネットの記事で学びました。

 

bookmark_border[16] アマチュア無線再開

今年の春以後、コロナの影響で家に籠る時間が長くなり、アマチュア無線の再開を考えるようになりました。

集合住宅のため、アンテナをどうするかケーブルをどう引き込むかが問題です。使っていないエアコン用ダクトからケーブルを引き込み、アンテナはベランダ用BSアンテナ取付金具に設置することにしました。

今の時代は、V型短縮DPなどの小型アンテナがありますので、アパマンハムにとってHFでも結構ハードルは低いように思います。ただし短縮アンテナのため同調点が急峻で帯域は狭く調整が面倒なようで、そのためアンテナアナライザとアンテナチューナが必須とのことです。

結局、アンテナは第一電波 HFV5、リグはコストパフォーマンスの良い八重洲 FT-450DM(50W機)に決めました。大きな出力に対する懸念は、無駄にアンテナで熱エネルギーに変換されてしまわないか、そもそもアンテナ自体が耐えられるのか、他の機器への妨害、電気代など様々なものがあります。ただそれよりも50Wを超えると移動できない局になってしまいますので、当初から100W機は選択肢にはありませんでした。

またアンテナアナライザですが、安価な小型ネットワークアナライザが出回っていることをネットで知り、アンテナアナライザの代用として購入しました。「NanoVNA」という手のひらに乗る小さな機器で価格は6千円台でした。これ1台で900MHzまでの信号が測定できるそうです。一応ネットワークアナライザですのでフィルタの通過特性も測れますし、信号強度のほか、SWR、スミスチャートなど数種類のフォーマットで表示可能です。また、PCにUSB接続して制御しモニター上に表示ができます。同時に内蔵バッテリーに充電が可能です。

ただ使う周波数毎に較正が必要です(オープン、ショート、50Ω負荷などの較正キットが付属。)それから分解能が低いため測定する周波数範囲をうまく選ばないと、SWRなど大事なディップ点を見落とすおそれがあります。

かつてはアンテナ調整は共振点を見るディップメータを使うのが一般的でした。私は使ったことはありませんが、当時の少年時代の私の感覚からすると高価だったと思います。その頃はOMさんからいただいたSWR計をつないで安心していました。

今ではリグにアンテナチューナや、簡易型ながらもSWR計、パワー計がつき、SWRが3を超えると安全装置が働いてチューニングや送信ができなくなるなど至れり尽くせりという感じです。良い時代になりました。

 

bookmark_border[13] アンテナタワー

中近東の某国でのことですが、自動車電話無線基地局の工事現場で、建設会社の人に誘われて地上高75メートルの自立鉄塔に登ったことがあります。

もちろん命綱を付けるのですが、ラダーを一段ずつ上がる際に手足計4本のうちいずれか3本で体を支える「3点支持」を徹底するよう言われました。

その鉄塔は下の方は幅が広くラダーが中央にある垂直タイプだったため、登り始めはラダーとタワー骨材との間に距離があり恐怖を感じました。しかし、上にいくにつれてタワーが細くなっていき、また途中に休憩場所もあるため安心感が増し徐々に慣れていきました。結局、てっぺん到達まで30分はかかったと思います。

自立鉄塔とは別に、ワイヤー張力で支えるガイタワーには登った経験はありません。会社の先輩の話ではガイタワーはよく揺れるとのことでした。風の影響だけでなく自分の体重でも揺れるそうです。

 

bookmark_border[12] 電界強度の測定

80年代前半、社会人になりたての頃の私の仕事は、海外向け自動車電話のシステム設計と、実際に出来上がったシステムでのカバレッジ(サービスエリア)の調査でした。

当時の自動車電話システムは、今の携帯電話システムのような無線基地局のアンテナをビルの屋上などにつけてカバレッジを細かく分ける方式ではなく、高い鉄塔の上に大きなアンテナを付けて電波を遠くまで飛ばしエリアを稼ぐ方式でした。そのため、いかに少ない基地局数やアンテナ数で広いエリアをカバーするかが課題であり、またシステム構築をしたのちサービスインの前にフリンジ(カバレッジの端っこ)や不感地帯の特定が必要となります。電波がどこまで届くか・・・というのは理論上計算が可能です。すなわち、アマチュア無線の試験にも出てきますが電界強度は距離に反比例するということです。しかしそれは送信側と受信側の間に何も障害物が存在しない「自由空間」上の話であり、実際はビルが立ち並ぶ都会などは伝搬状況が大きく異なります。

そこで参考にすべきバイブルが「奥村カーブ」です。奥村氏は、60年代から70年代にかけて東京タワーや筑波山に送信アンテナを設置して関東平野をクルマで走行し受信レベル(電界強度)の測定を行ったそうです。そして距離と受信電界強度の関係をグラフにした「奥村カーブ」を完成させました。奥村カーブを元に、送信電力、アンテナ利得、アンテナ高、受信感度(最低受信電界強度)などのパラメータを考慮し実態に即したカバレッジを推定するのですが、海外など広大な土地に無線基地局を設置する際は補正が必要でした。

実際にシステムが組み上がったあと、現地でバンを借りてエリア内を走行し電界強度測定機で測定する作業に参加しましたが、当時はGPSなどは使うことができず、紙の地図上に電界値を手書きでプロットしていく作業が延々と続きました。大変ではありましたが良い思い出として残っています。

 

bookmark_border[11] トリオ TS-120V

社会人になってしばらくモービルQSO(のワッチ)を楽しんだ後、固定HFに出てみたいとの衝動に駆られトリオのTS-120Vを買いました。これはHF入門機ではありますがツマミやボタンがたくさん付いていて「通信機」っぽく、本体側のマイクコネクタがオス4ピンであることも購入の決め手になりました。人それぞれこだわりのツボは違うと思いますが、トリオの商品戦略が上手かったのでしょう。

リグ購入後、アンテナをどうするかで行き詰ってしまいました。集合住宅のため外にアンテナが付けられないのです。またケーブルの引き込みもできません。結局、このリグでは一度もCQを出さず、簡単な線をつないだだけのSWL/BCL機に徹してしまいました。

アマチュア無線はアンテナが一番大事という基本的なことが、その時は頭からすっかり抜け落ちていました。モービルにせよ固定にせよQSOを楽しむことができなくなり、それを以ってアマチュア無線からは完全に遠ざかってしまいました。