bookmark_border[299] IF

中間周波数(IF)として昔からよく使われている455Hzや10.7MHzの意味をネットで調べました。イメージ周波数が他の通信に使われないIFを選択するのが基本です。

Wikipediaによると・・・

①1947年にアトランティックシティで開催された国際電気通信連合会議で、中波の放送周波数が535 – 1605kHzに割り当てられた。同年、日本政府はGHQの勧告により再生検波受信機の製造販売を禁止したため、メーカーはスーパーヘテロダイン方式のラジオを製造しなければならなくなった。

②日本は1949年に国際電気通信連合に加盟したため、国際電気通信連合の定めた中波の放送周波数で中波放送を行わなければならなくなった。

③この一連の動きの中で1950年7月28日、JISで、AM放送受信機の中間周波数は455kHz、FM放送受信機の中間周波数は10.7MHzと規定された(JIS C 6004『放送聴取用受信機中間周波数』)。このJISが制定されると、各メーカーは中間周波数に455kHzを採用するようになった。

とのことです。

またブログ記事によると・・・

・455KHz
①IFが高すぎると選択度が低下、低すぎるとイメージ悪化につながる
②RF増幅段がないと局発から漏れるためローカル周波数やその逓倍周波数が放送帯その他通信帯に被らないこと
③490kHz~510kHzは遭難通信用周波数。帯域を考えると480kHzあたりから上は使えない
④410kHz±3.5kHzは船舶の航行用方向探査用信号の周波数
⑤500kHzと410kHzの中間が455KHz
⑥最近のAMラジオは中間周波数450kHzの物がほとんど。これはPLLを組む時に都合が良いから

・10.7MHz
①多くの国ではFM放送周波数は88~108MHz。中間周波数を10MHz以上にするとイメージ周波数がバンド外に出る
②周波数が高すぎるとフィルタが作りにくくなりFM検波器の感度が下がってしまう
③±150kHzの帯域が必要で、高い周波数にするとクリスタルフィルタ等の高いものしか使えない
④10MHz~11.5MHzには、船舶通信も放送バンドも存在しなかった
⑤その中間が10.7MHz

ちなみにダブルスーパーでは1st IFが21.4MHz、2nd IFが455KHzというのがポピュラーですね。

昔、30年ほど前に仕事で小型の受信回路設計をしていたとき、同じチームの人がRFのSAWフィルタ、1st IFのクリスタルフィルタ、2nd IFのセラミックフィルタ全てにSMDを使っていたのを思い出しました。当時としては画期的だったと思います。

bookmark_border[298] RF

9R59Dの回路図を見始めて真空管高周波回路設計の参考書を探してみましたが、今や「高周波」というとミリ波が主流で、MF/HFなどは遠い過去のものになったしまった感があります。

大学の授業などで使う専門書や、アマチュア向けであっても古本であれば真空管RF関係のものは出回っているようですが、今更という気持ちもありますのでネット記事やブログなどで情報を得たいと思います。

また回路シミュレータソフトでもいじってみようかとも思いましたが、そもそも真空管回路では配線の引き回しや部品の大きさ、リードの長さなどの影響もあり集中定数だけではシミュレーションできず、真空管のパラメータもAFアンプ用以外は揃っていなさそうなのでこれも諦めました。

実機を入手するのもリスクが大きく測定器も必要ですので、真空管RF回路のお勉強は当面お預けです。

bookmark_border[15] インピーダンスマッチング

短い期間ですが、仕事で受信機の設計をしたことがあります。アンテナ内蔵型のシングルスーパーヘテロダイン受信機です。そこでは「回路間のマッチングをしっかりとること」が無線機設計の肝であることを学びました。

アンテナから始まり、RFアンプ、RFフィルタ、ミキサ、局発、IFフィルタ、IFアンプ、復調器など、それぞれの回路の出力インピーダンスと次につながる回路の入力インピーダンスを合わせるのですが、ネットワークアナライザで各回路間の入出力インピーダンスを測定し、その実数部(レジスタンス)+虚数部(リアクタンス)をスミスチャートにプロットして、インピーダンスが一致するように次回路側のL、Cなどの定数を変えていきます。

しかしながら思ったとおりにはうまくいきません。定数は、部品自体が持つ「集中定数」だけでなく、プリント配線板が持つ「分布定数」が影響しますので、場合によってはプリントパターンを切ったり配線経路を変える必要があり、当時はシミュレータ自体も十分に完備されていなかったためカットアンドトライが続きます。

また、手作りの試作機でチャンピオンセットができたとしても、はたして量産で同じ特性が実現できるのか、それも考慮しなければなりません。

結構根気のいる作業で、納期の関係で時間も限られているため苦痛になり、これを生涯続けていく自信はありませんでした。機器の開発・設計の仕事をされている方には本当に頭が下がります。