bookmark_border[38] ビギナー向け設備

CQ誌最新号の特集は「アマチュア無線機購入ガイド」で別冊付録に「2020アマチュア無線機器カタログ」というのが付いており、最近のリグが多数紹介されていてとても参考になりました。

当局が使っているリグはFT-450DM、アンテナはベランダ設置の短縮ダイポールHFV5で、いわゆる「ビギナー向け」設備の部類です。

私は中級機や高級機(の所有)に対する憧れはあるものの、それらはおそらく当局の使用環境にマッチせず宝の持ち腐れに終わってしまいそうで、購入意欲を掻き立てられるまでには至っていません。そもそも原資が限られているという事情もあり、今の設備構成はバランスが取れていると自己満足しています。

電波の飛び方はリグよりもアンテナの性能や周囲の状況に大きく左右されますので、私の環境下ではビギナー向けリグで十分だと思っています。その中でいかに交信エリアを広げていくかが課題で、今後の楽しみの一つでもあります。

bookmark_border[32] スプリット操作

JTDXの無線機設定項目に「スプリット操作(Sprit Operation)」というのがあります。FT8で「スプリット」というと、送信信号と受信信号を別々の周波数に設定するというイメージがありますが、この「スプリット操作」はそれとは異なりオーディオ信号の高調波を通信周波数帯の帯域外に逃がして他局への妨害を軽減させる機能です。

例えばFT8では帯域は3KHzですので、送信信号周波数(DF)が1500Hz以上であれば高調波は3000Hz(3KHz)以上、すなわちFT8の帯域外に外れるため妨害を無くすことができます。従ってDFを常に1500Hz以上に設定して送信すれば良いのですが、もし局数が多く出ている場合は下の方の周波数を使うこともあり、そうすると信号の高調波成分がFT8の帯域内に落ちてきて妨害を与える可能性が出てきます。

そこで、DFを1500Hz~2000Hz以外の周波数に設定した場合、PCからリグに送られるオーディオ信号の周波数は1500Hz~2000Hzの範囲内に収めつつ、送信信号周波数をDFに合わせるために送信キャリア周波数(例えば40m帯の国内用であれば7.041MHz)自体を自動的に上げ下げして送信するのがスプリット操作です。

スプリット操作の設定は「無し」「リグ」「Fake It」の3種類あります。

「リグ」設定はVFOを2つ持つリグを使う場合に使用することができ、VFOの一方を受信用、他方を送信用とし周波数を自動設定して信号を送信する機能です。また「Fake It」はVFOを1つしか持たないリグを使う場合に使用するもので、受信時、送信時にVFOの周波数を切り替えて運用する機能です。

当局の場合、リグにはVFOが2つあるのですが「リグ」設定するとQSOの成功確率が落ちるような気がします。VFO切替やPCからのオーディオ信号送出、TX ON等のそれぞれのタイミングなどが関係しているのかと想像しますが、今後検証してみます。ここら辺もアナログ的なトライアルアンドエラーの要素があり興味深いところです。

ちなみに40m国内バンド(7.041MHz)における送信周波数の動きを見てみたら次の様になっていました。

・DF設定値が500Hz未満 → 送信VFO=7.0395MHz
・DF設定値が500Hz以上1000Hz未満 → 送信VFO=7.0400MHz
・DF設定値が1000Hz以上1500Hz未満 → 送信VFO=7.0405MHz
・DF設定値が1500Hz以上2000Hz未満 → 送信VFO=7.0410MHz
・DF設定値が2000Hz以上2500Hz未満 → 送信VFO=7.0415MHz
・DF設定値が2500Hz以上 → 送信VFO=7.0420MHz

蛇足ながら、DFを3000Hzに設定したところ送信VFOは7.0425MHzに設定されました。電波は出していませんが・・・

bookmark_border[20] パソコンとリグの接続

PCとリグは八重洲 SCU-17でつなぎました。これを使えばPCからUSBでCAT信号やデータ信号をリグに送ることができます。RX/TXのデータ(オーディオ)レベルは前面のボリウムツマミで調整でき便利です。

なおSCU-17をPCにつなぐ前に、ドライバをPCにインストールする必要があります。八重洲無線のサイトからドライバファイルをダウンロードし、PCにインストールしたうえでSCU-17をつなぐと、PCのデバイスマネージャー上で以下の2つのUSB COMポートができたことが確認できました。

・ポート(COMとLPT)
Silicon Labs Dual CP210x USB to UART Bridge Enhanced COM Port (COM●)
Silicon Labs Dual CP210x USB to UART Bridge Standard COM Port (COM▲)
(COM番号●と▲は、パソコンの使用状況によって変わります)

さらに八重洲無線のサイトからFT-450DMをPCでコントロールするためのアプリ「PCC-450D」をダウンロードしてインストールしました。PCモニター上にFT-450DMの前面パネルそっくりの画像が表示され、ボタンをクリックしたり画面上でつまみを回したりしてリグをコントロールできます。

右下2つのツマミ(AF GAINとSQL/RF GAIN)はボリウムタイプのツマミのためPCからは動かせないようですが、リグ本体のツマミを回すとそれに連動してPC画面のツマミも回ります。その他のツマミの機能はPCから操作できます。

このように昔ではとても考えられなかったリグの運用方法ですが、リグからユーザインターフェースを無くし全てPCで操作することも技術的には可能と思います。しかしながら「モノ」の所有というアマチュア無線の楽しみの一つが奪われることになりますので、趣味用の無線機としては、少なくともユーザに触れる部分はあまり簡素化して欲しくないというのが本音です。

bookmark_border[17] リグとアンテナの設置

FT-450DMとHFV5を設置しました。

リグはいい感じで机上のラックに収まりました。表面のシボが堅牢なリグの雰囲気を醸し出しています。ツマミのシルバーリングとゴールドの印字がアクセントになっていて、横長のディスプレイや筐体の縦横サイズのバランスとともに一時代前の安定感のある通信機といった感じです。八重洲無線はこの機種の生産中止を発表しており、今後は新品を手に入れるのが難しくなるかも知れません。入手できて良かったです。

FT-450DM

アンテナは上階のベランダ底面につっかえそうですが、集合住宅のため外方向に張り出して設置するのは気が引けこの様なポジションにしました。これでSWRが落ちるのか、電波は遠くまで飛んでいくのか心配ではありますが、この大きさで40m、20m、15m、10m、6mの各バンドにQRVできるのは有難いことですし、調整も手元で楽にできるのであまりストレスを感じなくて済みそうです。当面はFT8の周波数を中心に調整することになると思います。

HFV5

コモンモードノイズ対策のためのフェライトコアもいくつか用意しました。同軸ケーブルやデータケーブルに被せるクランプフィルタです。昔は電波によるTVへの影響(TVI)をいかに回避するかがハムにとって重要な課題でしたが、今はデジタル放送で影響を受けにくくなった反面、PCやゲーム機などの電子機器の動作に悪影響を与えるコモンモードノイズの低減が重要であることをネットの記事で学びました。

 

bookmark_border[16] アマチュア無線再開

今年の春以後、コロナの影響で家に籠る時間が長くなり、アマチュア無線の再開を考えるようになりました。

集合住宅のため、アンテナをどうするかケーブルをどう引き込むかが問題です。使っていないエアコン用ダクトからケーブルを引き込み、アンテナはベランダ用BSアンテナ取付金具に設置することにしました。

今の時代は、V型短縮DPなどの小型アンテナがありますので、アパマンハムにとってHFでも結構ハードルは低いように思います。ただし短縮アンテナのため同調点が急峻で帯域は狭く調整が面倒なようで、そのためアンテナアナライザとアンテナチューナが必須とのことです。

結局、アンテナは第一電波 HFV5、リグはコストパフォーマンスの良い八重洲 FT-450DM(50W機)に決めました。大きな出力に対する懸念は、無駄にアンテナで熱エネルギーに変換されてしまわないか、そもそもアンテナ自体が耐えられるのか、他の機器への妨害、電気代など様々なものがあります。ただそれよりも50Wを超えると移動できない局になってしまいますので、当初から100W機は選択肢にはありませんでした。

またアンテナアナライザですが、安価な小型ネットワークアナライザが出回っていることをネットで知り、アンテナアナライザの代用として購入しました。「NanoVNA」という手のひらに乗る小さな機器で価格は6千円台でした。これ1台で900MHzまでの信号が測定できるそうです。一応ネットワークアナライザですのでフィルタの通過特性も測れますし、信号強度のほか、SWR、スミスチャートなど数種類のフォーマットで表示可能です。また、PCにUSB接続して制御しモニター上に表示ができます。同時に内蔵バッテリーに充電が可能です。

ただ使う周波数毎に較正が必要です(オープン、ショート、50Ω負荷などの較正キットが付属。)それから分解能が低いため測定する周波数範囲をうまく選ばないと、SWRなど大事なディップ点を見落とすおそれがあります。

かつてはアンテナ調整は共振点を見るディップメータを使うのが一般的でした。私は使ったことはありませんが、当時の少年時代の私の感覚からすると高価だったと思います。その頃はOMさんからいただいたSWR計をつないで安心していました。

今ではリグにアンテナチューナや、簡易型ながらもSWR計、パワー計がつき、SWRが3を超えると安全装置が働いてチューニングや送信ができなくなるなど至れり尽くせりという感じです。良い時代になりました。