bookmark_border[24] JTDXの設定

JTDX(v2.2.0-rc152)を立ち上げ、リグ接続のための設定を行いました。初めに「Language」→「日本語」の選択をすると、このアプリが日本語で動く様になります。

1.全般設定 「ファイル」→「設定」→「全般」
自局のコールサインと運用場所のグリッドロケータ(GL)を設定します。

2.リグ接続設定 「ファイル」→「設定」→「無線機」
リグを選択し次にCATコントロール用シリアルポートとボーレートを選択します。ボーレートは少しでも速い方が良いと思い、FT-450DMの最高速度「38400」に設定しました。リグ側のデフォルト設定は4800になっていますので、リグの「CATRATE」メニューで「38400」に変更します。またFT8ではサイドバンドの上側を使いますので、リグの「D TYPE」メニューで「USER-U」に変更します。リグ選択をしていれば、データビット、ストップビット、ハンドシェークなどのCATプロトコル設定は「デフォルト」のままで良いと思います。PTT方法は「RTS」とし、モード「Data/Pkt」、スプリット操作「無し」としました。最後に「CATテスト」ボタンを押してCATコントロールができるかどうか確認します。ボタンが緑色に変わればOKです。次に「PTTテスト」ボタンを押してボタンが赤色に変わりリグがTX ONになることを確認します。なお、PTTテストを押しても変調はかからずキャリアだけが送出されます。

3.オーディオ設定 「ファイル」→「設定」→「オーディオ」
サウンドカードはPCでリグ用に設定したものを選択します。一方、PC側ではマイクレベルを80%、スピーカレベルを50%に設定しました。これらは今後適宜調整です。スピーカのプロパティはEnhancementsをDisableに、形式は16ビット、48000Hz (DVDの音質)に設定が必要とのことです。

4.レポーティング設定 「ファイル」→「設定」→「レポーティング」
外部サイトや他のアプリにQSO情報を送る場合に設定します。私は「PSKレポーターへの情報送信を有効化」「UDP要求を受け入れる」「UDP要求があった場合に通知する」「ウィンドウを復元するUDP要求を受け入れる」にチェックを入れました。UDPはJTAlertとの通信に使われるとのことです。

5.周波数設定 「ファイル」→「設定」→「周波数」
40mの国内FT8通信用として7.041MHzを追加します。追加のボタンがありませんので、リストに載っている周波数のどれかを変更する形で登録するのだと思います。
ひとまずこの様な設定とし、あとは運用開始後に必要に応じて設定を追加、変更することにします。

bookmark_border[23] アプリのインストール

ネットなどの情報を参考にして、FT8で使う各種アプリをPCにインストールしました。インストール後の設定が結構難しそうです。

1.TurboHAMLOG
アマチュア無線業務日誌(ログ)をPCで運用しログを電子管理するためのアプリです。QSLカードの印刷機能もあります。

2.JTDX
WSJT-Xと並んで、FT8その他アマチュア無線デジタル通信の肝となるアプリです。JTDXの方が受信デコード性能が良いとのことですのでこちらを使うことにします。

3.JT_Linker
JTDXやWSJT-Xでの交信記録を自動でTurboHAMLOGに送出してくれます。

4.JTAlert
交信済みの局を教えてくれたり、受信した局の状況(?)を教えてくれるアプリです。使うアプリを登録しておくと自動的に起動したり終了してくれる機能もあります。

5.iネッ時計
PCの時計を±0.2秒以内に調整してくれるアプリです。FT8は同期型通信方式ですのでPCの時計は常に正確でなければなりません。

とりあえずこれらをインストールし、あとは必要に応じて追加または変更していく予定です。

ところで私が開局したての頃は、アマチュア無線局に「時計」「業務日誌」「無線検査簿」「電波法令集または抄録」の備え付けが義務付けられていましたが、今は備え付けが省略されています。

当時、時計は無線運用にはアナログ時計よりもデジタル時計の方が便利ということで、パタパタ方式の機械式デジタル時計を机の上に置いて使っていました。電波法令集抄録は表紙が赤くて薄いものだったと記憶しています。

bookmark_border[22] FT8(信号)

さらにFT8 (V2)のスペックには以下のように書かれています。

・Sequence time: 15 s
・Duration of transmission: 12.64 s
・User information, per transmission: 77 bits
・Total bits sent per transmission: 174 bits
・Code: LDPC
・Channel bandwidth: 6.25 Hz
・Total occupied bandwidth: 50 Hz

15秒毎に送受信が反転、一度の信号送出時間は12.64秒でその間に174ビットを送り、そのうち77ビットは情報ビットということですので、差分の100ビット弱が誤り訂正用と理解しました。使用されている誤り訂正方式「LDPC」については知識がありません。

FT8用8値FSKの信号周波数ですが、サブキャリア周波数を基準にして+0Hz / +6.25Hz / +12.5Hz / +18.75Hz / +25Hz / +31,25Hz / +37.5Hz / +43.75Hzで周波数偏移幅は43.75Hz、占有帯域幅として50Hzということでしょうか。FT8通信用の周波数幅は3KHzで、その中で送受信することになります。

FT8運用時には、サブキャリア周波数を自分で手動設定するか相手の周波数に自動的に合わせる設定をするようです。たとえば、40mバンドの国内QSO用キャリア周波数は7.041MHzですが、サブキャリアを1500Hzと設定すると、PCで1500Hz / 1506.25Hz / 1512.5Hz / 1518.75Hz / 1525Hz / 1531.25Hz / 1537.5Hz / 1543.75Hzのトーンが信号に応じた順序で組み立てられリグに送られます。リグはこれら一連のトーンを電波(7.041MHz)に乗せて12.64秒間送出します。

受信側では、3KHzの帯域内で受信した信号をデコードしモニタ上に表示します。受信信号を全てデコードして表示できるかは、PCの性能にかかってくるものと思われます。また受信中にPCが他のアプリを動かしたりネット接続のためにリソースを割いている場合は、FT8のデコード能力も下がってしまうかも知れません。そこら辺は実際にCPUの負荷状況をモニタしてみて、デコード落ちする原因を探ることになります。これもアマチュア無線の楽しみの一つかと思います。

bookmark_border[21] FT8(サブキャリアFSK)

そもそもFT8とは何か・・・調べてみました。

開発者のK9AN(Steven Franke氏)とK1JT(Joseph Taylor氏)の名前から「Franke Taylor design, 8FSK modulation = FT8」と名付けられたそうで、今のバージョンはV2のようです。

・方式:8GFSK
・通信速度:6.25bps
・副搬送波周波数:200-2900Hz可変
・周波数偏移幅:43.75Hz
・符号構成:WSJT-FT8符号
・前方誤り訂正符号:LDPC
・電波型式 F1D

変調方式ですが、副搬送波(サブキャリア)に8値のデジタル周波数変調(FSK)をかけ、そのままの矩形波信号では帯域が広がってしまうため、ガウシアンフィルタで波形をなまらせ帯域が広がらないようにしたサブキャリアFSK方式と理解しました。

サブキャリアFSKとは、ダイレクトFSKのように主搬送波(キャリア)を直接たたいて変調をかけるのではなく、一旦副搬送波を介して変調をかける方式です。

【ダイレクトFSK】
「1」「0」の信号を電波に乗せて送信する場合、仮にキャリア周波数を7.100MHz、「1」に対応する信号周波数を1KHz、「0」に対応する信号周波数を-1KHzとすると、受信側では7.101MHz(=7.100MHz+1 KHz)の電波を受けると「1」、7.099MHz(=7.100MHz-1KHz)の電波を受けると「0」の信号が来たと判断します。ただしこの方式では、送信側ではダイレクトにキャリア周波数を変化させる必要がありますので、設備が限られたアマチュア無線の世界では実用的ではありません。

【サブキャリアFSK】
ダイレクトFSKと異なり、一旦サブキャリアを介して変調する方式です。「1」「0」の信号を電波に乗せて送信する場合、仮にキャリア周波数を7.100MHz、サブキャリア周波数を1KHz、「1」に対応する信号周波数を+100Hz、「0」に対応する信号周波数を+200Hzとしますと、受信側では7.1011MHz(=7.100MHz+1 KHz+100Hz)の電波を受けると「1」、7.1012MHz(=7.100MHz+1KHz+200Hz)の電波を受けると「0」の信号が来たと判断します。この様にオーディオ帯域の周波数で信号を作ることが可能ですので比較的簡易な設備で実現できます。

これらは2値FSKの例ですが、FT8は8値ですので8種類の信号周波数で変調をかけることになります。8値FSKでは1信号周波数あたり3ビット(000, 001, 010, 011, 100, 101, 110, 111)が割り当てられます。

bookmark_border[20] パソコンとリグの接続

PCとリグは八重洲 SCU-17でつなぎました。これを使えばPCからUSBでCAT信号やデータ信号をリグに送ることができます。RX/TXのデータ(オーディオ)レベルは前面のボリウムツマミで調整でき便利です。

なおSCU-17をPCにつなぐ前に、ドライバをPCにインストールする必要があります。八重洲無線のサイトからドライバファイルをダウンロードし、PCにインストールしたうえでSCU-17をつなぐと、PCのデバイスマネージャー上で以下の2つのUSB COMポートができたことが確認できました。

・ポート(COMとLPT)
Silicon Labs Dual CP210x USB to UART Bridge Enhanced COM Port (COM●)
Silicon Labs Dual CP210x USB to UART Bridge Standard COM Port (COM▲)
(COM番号●と▲は、パソコンの使用状況によって変わります)

さらに八重洲無線のサイトからFT-450DMをPCでコントロールするためのアプリ「PCC-450D」をダウンロードしてインストールしました。PCモニター上にFT-450DMの前面パネルそっくりの画像が表示され、ボタンをクリックしたり画面上でつまみを回したりしてリグをコントロールできます。

右下2つのツマミ(AF GAINとSQL/RF GAIN)はボリウムタイプのツマミのためPCからは動かせないようですが、リグ本体のツマミを回すとそれに連動してPC画面のツマミも回ります。その他のツマミの機能はPCから操作できます。

このように昔ではとても考えられなかったリグの運用方法ですが、リグからユーザインターフェースを無くし全てPCで操作することも技術的には可能と思います。しかしながら「モノ」の所有というアマチュア無線の楽しみの一つが奪われることになりますので、趣味用の無線機としては、少なくともユーザに触れる部分はあまり簡素化して欲しくないというのが本音です。