bookmark_border[15] インピーダンスマッチング

短い期間ですが、仕事で受信機の設計をしたことがあります。アンテナ内蔵型のシングルスーパーヘテロダイン受信機です。そこでは「回路間のマッチングをしっかりとること」が無線機設計の肝であることを学びました。

アンテナから始まり、RFアンプ、RFフィルタ、ミキサ、局発、IFフィルタ、IFアンプ、復調器など、それぞれの回路の出力インピーダンスと次につながる回路の入力インピーダンスを合わせるのですが、ネットワークアナライザで各回路間の入出力インピーダンスを測定し、その実数部(レジスタンス)+虚数部(リアクタンス)をスミスチャートにプロットして、インピーダンスが一致するように次回路側のL、Cなどの定数を変えていきます。

しかしながら思ったとおりにはうまくいきません。定数は、部品自体が持つ「集中定数」だけでなく、プリント配線板が持つ「分布定数」が影響しますので、場合によってはプリントパターンを切ったり配線経路を変える必要があり、当時はシミュレータ自体も十分に完備されていなかったためカットアンドトライが続きます。

また、手作りの試作機でチャンピオンセットができたとしても、はたして量産で同じ特性が実現できるのか、それも考慮しなければなりません。

結構根気のいる作業で、納期の関係で時間も限られているため苦痛になり、これを生涯続けていく自信はありませんでした。機器の開発・設計の仕事をされている方には本当に頭が下がります。