bookmark_border[346] 通信記録公開の是非

当局のブログでは、通信記録を掲載する際に他局のコールサインのサフィックスをマスキングしています。ここまでやる必要は無いのかなと思いつつ、次のいくつかの観点で懸念があるためその様にしています。

①電波法

電波法には「法律に別段の定めがある場合を除くほか、特定の相手方に対して行われる無線通信を傍受してその存在若しくは内容を漏らし、又はこれを窃用してはならない。」という、いわゆる「通信の秘密」の保護規定があり、従事者免許証の裏面にもその旨が記されています。従って、自らがログを公開している場合を除き、アマチュア無線であっても交信の存在やその内容について第三者は公開できないとの解釈も成り立つのではないかと思われます。例えばFT8等のデジタル通信であれば、SNRの交換が「無線通信の内容」に該当すると思いますので、SNR情報を含む通信記録を第三者が公開することには少し違和感を覚えます。なお、アマチュア無線は「特定の相手方に対して行われる無線通信」ではないという解釈や、そもそも誰でもワッチできるのでその内容は秘密情報ではないという解釈があることは認識しています。

②改正個人情報保護法

コールサイン自体は、局情報や会員情報を管理する者以外の者にとっては「個人情報」として扱う必要は無いと思いますが、その通信記録については2020年改正個人情報保護法でいう「個人関連情報」に該当するものと思われます。これは情報提供先の情報と組み合わせると個人が特定され、その行動もわかりますので、昨今話題になっている「クッキー」とは性質の違うものではありますが、取扱いには注意が必要かなと思っています。コールサインのサフィックスをマスキングすることで「匿名加工情報」として、本人に同意を得ることなく公開できるものと理解しています。

③GDPR

欧州GDPRは日本の個人情報保護法よりもずっと厳しいため、特に国を跨いで情報が伝わるブログ記事では気を付ける必要があるかも知れません。ただ当局の場合はEU域内の局とはあまりQSOができていないため、それほど気にする必要は無いのでしょうか・・・それも悲しいですね。

④プライバシー

これは法令違反というよりは個人のプライバシー権の侵害ということですが、アマチュア無線家は元々通信内容の公開を前提にQSOをしていますので、それを第三者が公開したからといって目くじらを立てるような局長さんはいないと思います。ただ全く問題無いかというとそうも言い切れないですね。

以上長々と書きましたが、コンサバに解釈しなるべくリスクを最小化するよう対応しています。ただ各局それぞれの解釈や思い、やり方があるでしょうから、それはそれでお互いに尊重し合いながら無線を楽しんでいければと思います。