bookmark_border[22] FT8(信号)

さらにFT8 (V2)のスペックには以下のように書かれています。

・Sequence time: 15 s
・Duration of transmission: 12.64 s
・User information, per transmission: 77 bits
・Total bits sent per transmission: 174 bits
・Code: LDPC
・Channel bandwidth: 6.25 Hz
・Total occupied bandwidth: 50 Hz

15秒毎に送受信が反転、一度の信号送出時間は12.64秒でその間に174ビットを送り、そのうち77ビットは情報ビットということですので、差分の100ビット弱が誤り訂正用と理解しました。使用されている誤り訂正方式「LDPC」については知識がありません。

FT8用8値FSKの信号周波数ですが、サブキャリア周波数を基準にして+0Hz / +6.25Hz / +12.5Hz / +18.75Hz / +25Hz / +31,25Hz / +37.5Hz / +43.75Hzで周波数偏移幅は43.75Hz、占有帯域幅として50Hzということでしょうか。FT8通信用の周波数幅は3KHzで、その中で送受信することになります。

FT8運用時には、サブキャリア周波数を自分で手動設定するか相手の周波数に自動的に合わせる設定をするようです。たとえば、40mバンドの国内QSO用キャリア周波数は7.041MHzですが、サブキャリアを1500Hzと設定すると、PCで1500Hz / 1506.25Hz / 1512.5Hz / 1518.75Hz / 1525Hz / 1531.25Hz / 1537.5Hz / 1543.75Hzのトーンが信号に応じた順序で組み立てられリグに送られます。リグはこれら一連のトーンを電波(7.041MHz)に乗せて12.64秒間送出します。

受信側では、3KHzの帯域内で受信した信号をデコードしモニタ上に表示します。受信信号を全てデコードして表示できるかは、PCの性能にかかってくるものと思われます。また受信中にPCが他のアプリを動かしたりネット接続のためにリソースを割いている場合は、FT8のデコード能力も下がってしまうかも知れません。そこら辺は実際にCPUの負荷状況をモニタしてみて、デコード落ちする原因を探ることになります。これもアマチュア無線の楽しみの一つかと思います。

bookmark_border[21] FT8(サブキャリアFSK)

そもそもFT8とは何か・・・調べてみました。

開発者のK9AN(Steven Franke氏)とK1JT(Joseph Taylor氏)の名前から「Franke Taylor design, 8FSK modulation = FT8」と名付けられたそうで、今のバージョンはV2のようです。

・方式:8GFSK
・通信速度:6.25bps
・副搬送波周波数:200-2900Hz可変
・周波数偏移幅:43.75Hz
・符号構成:WSJT-FT8符号
・前方誤り訂正符号:LDPC
・電波型式 F1D

変調方式ですが、副搬送波(サブキャリア)に8値のデジタル周波数変調(FSK)をかけ、そのままの矩形波信号では帯域が広がってしまうため、ガウシアンフィルタで波形をなまらせ帯域が広がらないようにしたサブキャリアFSK方式と理解しました。

サブキャリアFSKとは、ダイレクトFSKのように主搬送波(キャリア)を直接たたいて変調をかけるのではなく、一旦副搬送波を介して変調をかける方式です。

【ダイレクトFSK】
「1」「0」の信号を電波に乗せて送信する場合、仮にキャリア周波数を7.100MHz、「1」に対応する信号周波数を1KHz、「0」に対応する信号周波数を-1KHzとすると、受信側では7.101MHz(=7.100MHz+1 KHz)の電波を受けると「1」、7.099MHz(=7.100MHz-1KHz)の電波を受けると「0」の信号が来たと判断します。ただしこの方式では、送信側ではダイレクトにキャリア周波数を変化させる必要がありますので、設備が限られたアマチュア無線の世界では実用的ではありません。

【サブキャリアFSK】
ダイレクトFSKと異なり、一旦サブキャリアを介して変調する方式です。「1」「0」の信号を電波に乗せて送信する場合、仮にキャリア周波数を7.100MHz、サブキャリア周波数を1KHz、「1」に対応する信号周波数を+100Hz、「0」に対応する信号周波数を+200Hzとしますと、受信側では7.1011MHz(=7.100MHz+1 KHz+100Hz)の電波を受けると「1」、7.1012MHz(=7.100MHz+1KHz+200Hz)の電波を受けると「0」の信号が来たと判断します。この様にオーディオ帯域の周波数で信号を作ることが可能ですので比較的簡易な設備で実現できます。

これらは2値FSKの例ですが、FT8は8値ですので8種類の信号周波数で変調をかけることになります。8値FSKでは1信号周波数あたり3ビット(000, 001, 010, 011, 100, 101, 110, 111)が割り当てられます。

bookmark_border[19] アマチュア無線用パソコン

FT8を運用するにはリグとアンテナのほかにパソコンが必要です。

信号を生成したり解読したりするパソコンには一定程度の性能が要求されるようなのですが、私が持っているものは小型のノートパソコンで、プロセッサもモバイル低消費電力型の性能の低いものですので、今回アマチュア無線専用に新調することにしました。

入手したのは、およそ12cm角、高さ5cmくらいのミニPCで価格は3万円台のものです。主なスペックは次のとおりです。

・CPU: Intel Corei3(5005U 2GHz)
・メモリ: 8GB
・ストレージ:128GB SSD
・OS: Windows10 Pro

FT8の推奨プロセッサはCorei3以上ということでギリギリです。しかも「5005U」という何世代も前のプロセッサですので、実用に耐え得るか少し不安があります。ちなみにOSは「Home」ではなく「Pro」ということもあり、他のPCからリモートで接続しリグの遠隔運用ができるかも知れません。

bookmark_border[18] アンテナ調整

アンテナの設置が完了しましたので、各バンドで調整を行いました。

バンド毎にSWRを最小にすべきターゲット周波数を決め、HFV5の取扱説明書に記載された「標準周波数」「標準エレメント長」「エレメント長変化に対する周波数変化」の情報を元にExcelを使ってターゲット周波数に対応するエレメント長を算出し、エレメントを一旦その長さに合わせ、NanoVNAでSWRが最小になる周波数を見て長さを微調整するという方法で行いました。

周波数はFT8の周波数に合わせるのですが、同一バンド内で複数の運用周波数がある場合、たとえば40mですと国内QSO用は7.041MHz、DX用は7.074MHzですので、両周波数の間で調整しました。

ミリ単位での微調整を行った結果、7.0MHz~7.1MHzのSWR特性は以下のようになりました。センターは7.058MHzくらいで狙い通りです。

SWRの最小値がぴったり1になっていますが、これは横着して室内で測定したものですので、進行波・反射波ともに一定程度減衰し、測定点でのSWRは実際よりもかなり良く見えているのではないかと思います。ちなみにアンテナまでのケーブルは5D2V 10mです。

HFV5 SWR (40m)

この調整を通じて短縮ダイポールの帯域の狭さを実感しました。リグ内蔵のアンテナチューナを使ったとしても送信可能範囲は7.03MHz~7.08MHz程度と思われます。今後、FT8だけでなくSSBやCWを行うときは、その都度調整し直すか別のアンテナを考えなければなりません。

もしくは、せっかくアンテナが手に届く位置にありますので、アマチュア精神を発揮してエレメントにクリップを付けて同調点をずらしてみるなどは、やってみる価値はあると思っています。

なお、エレメントの長さ調整を繰り返すうちにエレメント固定用のイモネジ(セットビス)の頭の六角穴がなまってきますので、予備ネジの準備が必要かも知れません。HFV5に使われているイモネジはM4x3のようです。