JTDXの無線機設定項目に「スプリット操作(Sprit Operation)」というのがあります。FT8で「スプリット」というと、送信信号と受信信号を別々の周波数に設定するというイメージがありますが、この「スプリット操作」はそれとは異なりオーディオ信号の高調波を通信周波数帯の帯域外に逃がして他局への妨害を軽減させる機能です。
例えばFT8では帯域は3KHzですので、送信信号周波数(DF)が1500Hz以上であれば高調波は3000Hz(3KHz)以上、すなわちFT8の帯域外に外れるため妨害を無くすことができます。従ってDFを常に1500Hz以上に設定して送信すれば良いのですが、もし局数が多く出ている場合は下の方の周波数を使うこともあり、そうすると信号の高調波成分がFT8の帯域内に落ちてきて妨害を与える可能性が出てきます。
そこで、DFを1500Hz~2000Hz以外の周波数に設定した場合、PCからリグに送られるオーディオ信号の周波数は1500Hz~2000Hzの範囲内に収めつつ、送信信号周波数をDFに合わせるために送信キャリア周波数(例えば40m帯の国内用であれば7.041MHz)自体を自動的に上げ下げして送信するのがスプリット操作です。
スプリット操作の設定は「無し」「リグ」「Fake It」の3種類あります。
「リグ」設定はVFOを2つ持つリグを使う場合に使用することができ、VFOの一方を受信用、他方を送信用とし周波数を自動設定して信号を送信する機能です。また「Fake It」はVFOを1つしか持たないリグを使う場合に使用するもので、受信時、送信時にVFOの周波数を切り替えて運用する機能です。
当局の場合、リグにはVFOが2つあるのですが「リグ」設定するとQSOの成功確率が落ちるような気がします。VFO切替やPCからのオーディオ信号送出、TX ON等のそれぞれのタイミングなどが関係しているのかと想像しますが、今後検証してみます。ここら辺もアナログ的なトライアルアンドエラーの要素があり興味深いところです。
ちなみに40m国内バンド(7.041MHz)における送信周波数の動きを見てみたら次の様になっていました。
・DF設定値が500Hz未満 → 送信VFO=7.0395MHz
・DF設定値が500Hz以上1000Hz未満 → 送信VFO=7.0400MHz
・DF設定値が1000Hz以上1500Hz未満 → 送信VFO=7.0405MHz
・DF設定値が1500Hz以上2000Hz未満 → 送信VFO=7.0410MHz
・DF設定値が2000Hz以上2500Hz未満 → 送信VFO=7.0415MHz
・DF設定値が2500Hz以上 → 送信VFO=7.0420MHz
蛇足ながら、DFを3000Hzに設定したところ送信VFOは7.0425MHzに設定されました。電波は出していませんが・・・