bookmark_border[493] Martin F.Jue氏とMFJ社

今回は、MFJ社と創業者のMartin F. Jue氏についてWikipediaや同社HPなどを元に調べてみました。

Martin F. Jue氏(K5FLU)

1966年にミシシッピ州立大学、1971年にジョージア工科大学を卒業しマグナボックス社で1年間働いた後、かつてミシシッピ州スタークビルにあったスタークホテルの部屋で1972年にMFJ社を創業。CWフィルターキットの製造を開始。その後、MFJ社は世界最大のアマチュア無線製品のメーカーに成長。2001年に「CQ」殿堂入り、2009年に「QRP」殿堂入りを果たした。また2011年に「Ham Radio Outlet Certificate Of Honor」を授与、2012年にはARRLより特別功労賞を受賞。

MFJ

社名は「MFJ Enterprises, Inc.」で、5つの子会社(Ameritron HF Amplifiers, Hy-Gain Antennas and Rotators, Mirage VHF/UHF Amplifiers, Vectronics, Cushcraft Amateur Antennas)を保有。1972年にMartin F. Jue氏が事業を開始した後、当初は直販を中心に小売販売をし、アマチュア無線市場が拡大するにつれディーラを通した販売に移行。現在、米国に200以上、海外では40超のディーラを持つ。ディーラを通じて製品の95%以上を販売、残りはネット販売。

このように、Jue氏は事業を通じてアマチュア無線界の発展に貢献して来られた偉大な方だと理解しました。

同社や子会社の販売サイトを見ても、商品の種類の多さに驚かされます。ただShipping policyを見ると出荷先は米国内に限るとのことです。日本のディーラさんがどの商品を扱っているのかはわかりませんが、今後、MFJ社の商品を何か買ってみたいと思いました。

bookmark_border[492] MFJの特許検索

今回は、MFJのATU関連特許についてUSPTO(米国特許庁)の検索サイトを使って検索してみました。

ここの「USPTO Patent Full-Text and Image Database (PatFT)」→「Quick Search」で検索画面が開きますので、Term1にはMFJと記入、Field1はAssignee Name(譲受人)を指定します。通常、職務発明の場合は発明者(従業員)から会社への譲渡がなされるため、このような指定にしました。

その結果・・・

1 D374,010 Digital signal processor
2 D368,270 Antenna performance analyzer
3 D363,724 Front panel for an amateur radio code keyer
4 D363,443 Meter
5 D342,690 Meter display panel

これら5つがヒットしました。しかし特許番号に「D」がついていますので、いわゆる特許ではなく「Design Patent:意匠」ですね。MFJが特許権者として保有する米国特許は見つけることができませんでした。

次に発明者をキーワードとして検索するために、上記意匠の発明者(創作者)を確認しました。

1 D374,010 Jue; Martin F. / Pan; Steven S.
2 D368,270 Jue; Martin F.
3 D363,724 Jue; Martin F. / Jue; Stephen D.
4 D363,443 Jue; Martin F. / Pan; Steven S. / Rauch; Charles T.
5 D342,690 Jue; Martin F. / Pan; Steven S. / Rauch; Charles T.

ここで「Jue; Martin F.」=Martin F. Jue氏という方が全てに関わっていてキーパーソンのようです。ネット検索してみるとこの方はMFJ社の創業者でした。名前の頭文字をとって社名にしているのでしょうか。

そこで同氏を発明者とする特許を検索しました。今度はTerm1にJue; Martin F.と記入しField1はInventor Name(発明者)を指定します。

(発明者:Martin F. Jue)
1 10,553,936 Antenna tuning circuits, modules, and systems and related techniques
2 10,551,421 Method and apparatus for remotely determining antenna input impedance
3 10,340,586 Antenna tuning circuit, module, and system
4 10,309,998 Method and apparatus for remotely determining antenna input impedance
5 10,153,541 Autotune mobile antenna
6 7,453,328 Bandwidth high-power T network tuner
7 7,224,241 Extended matching range tuner
8 D374,010 Digital signal processor
9 D368,270 Antenna performance analyzer
10 D363,724 Front panel for an amateur radio code keyer
11 D363,443 Meter
12 D342,690 Meter display panel

12ケがヒットしました。#8~#12は上述の意匠分ですね。特許タイトルを見ると#1~#7の特許全てがアンテナチューナ関係のようで、書誌情報だけで判断すると、これらの特許は同氏が保有しているようです。

ちなみにこの方の特許(出願中含め)の状況は、JUSTIA Patentsのサイトでも確認することができました。USPTOよりもこちらの方がわかり易いかも知れません。

また、Jue氏以外のPan / Jue / Rauch 各氏が発明者となる特許も検索してみました。

(発明者:Steven S. Pan)
1 D374,010 Digital signal processor
2 D363,443 Meter
3 D342,690 Meter display panel

意匠のみですので、この方は工業デザイナーでしょうか・・・

(発明者:Stephen D. Jue)
1 6,766,447System and method of preventing speculative reading during memory initialization
2 6,718,488 Method and system for responding to a failed bus operation in an information processing system
3 6,567,931 Preventing false remote system wake events following AC power loss
4 D363,724 Front panel for an amateur radio code keyer

特許タイトルから想像すると、この方はロジック屋さんでしょうか・・・。元々の意匠(#4)は1993年出願でMFJに帰属していますが、#1~#3の特許は出願が1999年~2000年で全て別の企業に帰属しています。

(発明者:Charles T. Rauch)
1 8,669,911Balanced transmission line with parallel conductors
2 8,175,546 Receive antenna interface for an RF transceiver
3 D624,060 Antenna feed line
4 7,573,349 Antenna balun
5 7,423,588 Phased array antenna system
6 7,319,435 Balun for an antenna
7 D363,443 Meter
8 D342,690 Meter display panel

アンテナ屋さんでしょうか・・・。#1~#6の特許は2004年~2011年に出願されたもので、全て別の企業に帰属しています。

この様に特許を検索していくと、発明者ごとの専門分野や動向が想像できますね。検索や抽出を自動化すれば会社/発明者/技術/期間のマップが作れそうです。

本論から外れてしまいましたが、今後、電源重畳以外にMFJ製ATUに何か特徴が無いか、Martin F. Jue氏の特許内容から探っていければと思っています。

bookmark_border[491] CQ誌2月号

昨日はCQ誌の発売日だったため、早速購入しました。

実は直前まですっかり忘れており、夕方、仕事場から帰宅する際に「19日=発売日」であることを思い出して、急遽書店に立ち寄ったのです。

2月号の特集は「ハムログ活用のススメ」ということで、TurboHAMLOGの機能や便利な使い方など詳しく丁寧に説明されています。TurboHAMLOGは当局も使わせていただいていますが、おそらく機能の半分も使いこなせていないのではないかと思っています。これからじっくりと記事を読んで勉強してみます。

この様な参考書的な記事は、実際にある程度使ってからでないと中々頭に入ってこないものですが、今なら一つひとつ頷けると思います。

別冊付録は「BCLをまるごと楽しむ本 2022」ということで、昔懐かしいBCLラジオの写真が多数載っています。私はその頃はアマチュア無線を始めていてBCLラジオを所有したことはありませんが、ソニーのスカイセンサーには惹かれるものがありました。各機、チューニング用のダイヤルやバンド表示に特長がありましたね。

それから、本誌には「JTDX 2.2.158」公開の記事が掲載されていました。

年明けに156から157にアップデートしたばかりなのにと思って見てみますと、何と1月1日には既に158がリリースされていたようです。なぜその時気が付かなかったのか不思議です。158には「early start of decoder」という機能が導入されたとのことで、これは受信データのデコードのタイミングを早めるもののようです。

当局もJTDXをアップデートしようと先ほどJTDXサイトにアクセスを試みたのですが、ブラウザから「接続がプライベートではありません 攻撃者が、www.jtdx.tech から個人情報 (パスワード、メッセージ、クレジットカードなど) を盗み取ろうとしている可能性があります。」とのアラートが出たため接続を控えました。今度、改めて確認したいと思います。

CQ誌はCWやDX関係の記事も充実していますし、いつも情報が盛り沢山で嬉しいです。

bookmark_border[490] QSOパーティ書類提出

遅ればせながら、QSOパーティのログシートとサマリシートをJARL宛てに発送しました。最近はめったに使うことのなくなった切手を近くのコンビニで調達し、サマリシートの 「意見欄」に「連続日交信」と記入し、「寅」ステッカーの返信用封筒も同封し・・・おそらく漏れは無いと思います。

ステッカーは昨年「丑」を貰いましたので、今回で2枚目です。昔、QSOパーティでステッカーの配布が始まった頃に貰った記憶がかすかにあるのですが、いつの間にか無くなっていました。

ちなみに、台紙は今のところ購入する予定はありません。ステッカーが12枚集まったところで購入することになると思いますが、果たしてそれまで続けられるのか・・・と悩んでいても始まりませんので、今後も年初めにはチャレンジを続けていきたいと思います。

bookmark_border[489] 電源重畳ATU関連知財

今年に入ってからずっとATUのことが頭の片隅にあり、今回もまたその関係の話題です。

MFJ製の屋外型ATUは、同軸ケーブルに高周波信号と共に電源や制御信号を通すいわゆる「電源重畳」方式でコントロールケーブルが不要なのですが、そもそもこのようなアイディアはいつどこで生まれたのかを少し調べてみました。

とりあえず国内特許・実用新案を検索してみましたが電源重畳自体は昔からポピュラーな技術のようで、アンテナ制御関係に絞ってみたところ「実用新案登録第3034864号」がヒットしました。出願日は1996年8月19日、登録日は1996年12月11日です。特許と違って実用新案は簡易な審査なので出願から登録までが速いですね。請求項の内容は以下のとおりです。

【請求項1】
複数の周波数帯域を有し選択的に周波数を設定して無線通信を行う無線通信機において、選択した周波数に応じてアンテナの整合を行う整合部を備えたアンテナと無線通信機との間の送受信信号を通す同軸ケーブルに、送受信信号と整合部を制御する制御信号と整合部を作動させる電源とを重畳して通すことを特徴とする自動同調アンテナ。

【請求項2】
アンテナ整合部の同調コイルは、同調コイルに内接する導体の摺動子をモータ回転により摺動させてアンテナ同調させる構成とし、無線通信機とアンテナとを接続して送受信信号を通す同軸ケーブルに、モータ電源と、アンテナ同調のSWR信号に基づきアンテナ同調を行うモータの制御信号とを重畳させ、アンテナ整合部では、送受信信号はHPF、モータ電源はチョークコイル、制御信号はBPFにより各信号を分離してアンテナ自動同調をすることを特徴とする自動同調アンテナ。

このようにスクリュードライバアンテナ用の電源重畳に関する考案かと思いますが、請求項1は範囲が広く、ATUをアンテナの一部と解釈することもできそうですね。

ちなみにこれは八重洲無線から出願されたものです。ATAS-120などを想定したものでしょうか。すでに権利は失効しており、また他に特許があったとしても、この実用新案が先行技術となるため、少なくともこのようなコンセプトレベルでは特許について心配する必要はなさそうです。

あとは、実際に電源重畳を実現したり効率良くチューニングするための回路や制御手段、構造関係で特許が存在するのかが気になるところです。制御のアルゴリズムについてはノウハウ的な部分ですので、特許出願はされていないかも知れませんね。

今後、余裕があれば他社の特許なども調べてみたいと思います。