bookmark_border[174] テレックス

昨年アマチュア無線を再開してから、昔のことを思い出すことが多くなりました。これは無線に対する原体験が頭の奥深くに残っているからと思われ、無線再開とブログ執筆をきっかけにその記憶部分を刺激したのだと思います。

会社に入ってからの数年間は、日本が新興国に対して通信インフラを無償供与や円借款により整備するプロジェクトが多くあり、そのため通信事情が悪い国々への出張の機会に恵まれて(?)いました。

当時はもちろん電子メールなどはなく、通信手段は電話かテレックスのみでした。ファックスはその国の事情もあり使えない状態でした。

昼間は商社の現地駐在員事務所に詰めて電話やテレックスを使わせて貰えたのですが、中々定時内に仕事が終わらず、夜遅くに日本に打電し翌朝までに回答を貰うということも続いていました。

テレックスは紙テープにキーボード穿孔機で穴を空け、それをテレックス通信端末にかけて相手先に送ります。紙テープはプログラムをROMに焼くときなどにも使っていましたので、それほど違和感はありませんでした。

夜は事務所を使えないため、ホテルの穿孔機を使わせて貰い紙テープをフロントに預けて送って貰っていました。

通信文の項目番号は11、22、33など文字を重ねていましたが、これはテレックスでは回線品質により文字抜けが多く発生するため一文字だけでは消えるおそれがあるからです。特に金額などの重要な数字は同じものを併記していました。

また外国の方に内容を見られても良いように日本語をローマ字で打っていました。ただ通信料は文字数に比例するので、なるべく文字数を減らすため自分のことを「TH」(当方の略)、相手のことを「KH」(貴方の略)、ANDを「Y」(スペイン語のAND)、句点は「Z」などを使っていました。

その後ファックスが使えるようになっても、人によってはテレックス時代の名残りなのか、箇条書きの項目をAA、BB、CCとしている人を見掛けました。またCCはカーボンコピーという別の意味もあり紛らわしいため、AAA、BBB、CCCとしている人もいました。

今となっては役に立たない経験ですが、懐かしい思い出です。