これも80年代半ばのかなり古い話になってしまいますが、アフリカのスーダンに無線電話システムを導入するプロジェクトに参加する機会を得ました。日本からの無償援助です。
首都のハルツームからナイル川に沿って南に150Kmほど下ったところに、ワドメダニという小さな町があります。そのそばの「ゲジラ地区」という、昔イギリスが灌漑システムを構築し綿花の生産を推進した広大な土地に無線電話網を引くというプロジェクトです。
自動車電話と違い電話機自体は移動しませんので、通話を隣の無線基地局に渡す「ハンドオフ(ハンドオーバー)」や交換機同士の切替「ローミング」という仕組みが不要であり、それに端末側には八木などの指向性アンテナが使え、山やビルが無いためサービスエリア推定が容易なことからシステム設計は比較的楽です。
ちなみに、通常の電話回線であれば無線ではなく有線で良さそうですが、広大な土地に電話線を引くコスト、ケーブルの盗難、メンテナンス等を考慮して無線になったようです。ただし問題は電源です。
電話機を設置する場所は、普通の家や事務所などでなく農業小屋のような簡素で電気が来ていないところもあります。有線電話であれば端末側は電源は必要ありませんが、無線電話ではそうはいきません。
そこで、端末側のアンテナポールに小型のソーラーパネルを付けバッテリー駆動させることにしました。ソーラーパネルの周りには何本か針金を立て、鳥が寄ってこないようにしています。
すでに35年ほど経っており、今現地はどうなっているのか・・・知りたいような知りたくないような気持ちです。おそらく携帯電話システムが構築され、現地の方は普通にスマホを使っているのでしょう。